この記事では、イーサリアムへの投資を考えている方を対象に、イーサリアムの概要と特徴をわかりやすくまとめました。イーサリアムのシステムは、ビットコインとは大きく異なるので、その違いにも注目しつつ、ご覧ください。
イーサリアムの歴史
イーサリアムを考えたのは、Vitalik Buterin (ヴィタリック・ブリテン)というロシア出身のハッカーです。彼は、ビットコインにただならぬ興味を持ち、研究に勤しんだ結果、独自の構想を持って、イーサリアムを生み出しました。イーサリアムの開発は、2013年頃から始まり、2014年9月には、ICOという資金調達方法で、約16億円弱の資金を獲得しました。この資金を元手に、活発に開発が行われていましたが、2016年6月17日に「THE DAO事件」という大規模なハッキング事件により、約65億円分のイーサリアムが盗まれました。
そして、この事件の対応策について関係者間で対立が起こり、イーサリアムは、イーサリアムとイーサリアム・クラシックという2つの通貨に分かれました。その後は、再び信用を取り戻し、ビットコインに次ぐ時価総額第2位の通貨として、世間の注目を集めています。
イーサリアムのシステム
1) 分散型アプリケーションプラットフォーム
イーサリアムは、分散型アプリケーションプラットフォームです。つまり、イーサリアムのブロックチェーンを使って誰もがアプリケーションを作って、走らせることができます。この自由度は、EVM(Ethereum Virtual Machine)と呼ばれる実行環境に支えられています。また、開発言語であるSolidityは、どんなプログラムも記述できる(チューリング完全)ため、多種多様なプログラムを作成できることも特徴となっています。イーサリアムのブロックチェーンを使って、開発をするメリットは、「ゼロ・ダウンシステムの実現」と「不正の防止」です。
2) スマートコントラクト
イーサリアムと聞いて、真っ先に思い浮かべるのは「スマートコントラクト」というワードでしょう。イーサリアムは、ブロックチェーンに取引記録だけではなく「コントラクト(契約)」を書き込むことができます。このスマートコントラクトという技術を利用することで、従来のコントラクトに必要だった第三者機関の保証が不要になるため、あらゆるコントラクトを当事者間で自動執行することが可能になります。コントラクトというと、土地登記や公的手続きなど、堅いイメージを持ってしまって、応用できる範囲を限定しがちです。しかし、ポイントとなるのは、コントラクトもプログラムに過ぎないということです。そして、自動執行とは、ブロックチェーン上でプログラムが実行されていくことと同義です。実際のコントラクトがどういう姿をしているのかを知りたい方は、https://etherchain.org/contractsで見ることができます。
3) Dapps
イーサリアムのコントラクトを組み合わせてアプリケーションを作成することができます。これらのアプリケーションをDapps (Decentralized Applications)と呼びます。Dappsの実例を見てみましょう。http://dapps.ethercasts.com/にアクセスしてください。Dappsが一覧表示されていることがわかると思います。具体的には、ギャンブル、ゲーム、保険などです。興味のあるDappsがあれば、クリックしてサイトを訪問してみましょう。より詳細な情報が見られるはずです。
4) ETH(GAS)
イーサリアムのブロックチェーンを利用するには、ETH(イーサ)と呼ばれる通貨を使用します。これは、GAS(ガス)とも呼ばれています。もし、GASがなければ、無限にプログラムを実行できてしまい、イーサリアムのネットワークがパンクしてしまうため、GASという利用料を課すことで、システムを維持しています。またGASは、仮に何らかのプログラムが無限ループに陥ってしまった場合に、GASが切れることによって、プログラムを停止することができるという防止策にもなっています。
5) マイニングとPoS(プルーフ・オブ・ステーク)
現在のイーサリアムのマイニングにおけるコンセンサス・アルゴリズムは、ビットコインと同じPoW(プルーフ・オブ・ワーク)です。しかし、近い将来にPoS(プルーフ・オブ・ステーク)に移行することが予定されています。PoSは、PoWの
- 一部のグループによる中央集権化が起こる可能性
- -51パーセント問題により不正が起こる可能性
- マイニングによる電気代がかかる
といった問題点を解決するコンセンサス・アルゴリズムだといわれています。ざっくり説明すると、PoWは、「最も計算(仕事)をした人が報酬をもらえる」仕組みでしたが、PoSでは、所有している通貨の量によって、報酬が決まる仕組みになっています。
イーサリアムを入手する方法
イーサリアムは、仮想通貨取引所で入手することができます。2017年9月現在、イーサリアムを扱っている国内大手の取引所は次の表の通りです。
取引所 | 販売形態 |
bitFlyer | 取引・販売 |
Coincheck | 販売 |
BITPOINT | 取引 |
QUOINEX | 取引 |
みんなのビットコイン | 取引 |
bitbank.cc | 取引 |
Bit Trad | 取引 |
販売形態である「取引」は、価格を指定して取引板に注文して、直接購入する方法です。一方、「販売」はあらかじめ価格が決められている仮想通貨を購入する方法になります。価格は、「取引」による購入の方が安いです。
イーサリアムの時価総額・価格・チャート
2017年9月現在、イーサリアムの時価総額はビットコインに次ぐ第2位で、$27,039,983,735です。
現在の1ETHの価格は、31,715円です。2016年2月には1,200円であったことを考えると、約26倍成長していることになります。特に5月以降の伸びは目を見張るものがあります。過去には、「THE DAO事件」などのハッキング被害もあり、調整が入りましたが、全体として相場は伸びています。
5. イーサリアムに投資するべきか?
1) SWOT分析
(1)強み
スマートコントラクトの代表格
イーサリアム以外にもスマートコントラクト系の仮想通貨は存在しています。ただ、市場規模としては、圧倒的にイーサリアムのほうが大きいため、ネットワーク効果による競争の優位性を持つと考えられます。
EEAの存在
イーサリアムの可能性に賛同した企業により、EEA(Enterprise Ethereum Alliance)が結成されています。参加企業は、マイクロソフト、JPモルガン、トヨタなど、名だたる企業が名を連ねています。これにより、イーサリアムに対する信用も高くなっています。
(2)弱み
誰もが認める成功例がない
イーサリアムを利用したアプリケーションなどは日々、開発されています。しかし、誰もが認めるような成功例は未だに、生まれていません。THE DAOプロジェクトも結局は失敗に終わりました。今後も、この傾向が続けば、開発者がイーサリアムから離れていってしまう可能性もありえます。
柔軟が故に脆弱性がある
イーサリアムのブロックチェーンは、ビットコインよりも柔軟にできています。それが、イーサリアムの特徴の一つなのですが、柔軟が故に脆弱性が生まれてしまい、過去にハッキング被害を多く受けています。
日本国内での知名度がない
海外では、イーサリアムの知名度は高く、情報も活発に交換されていますが、国内での知名度は、ビットコインと比べて圧倒的に低く、日本語での情報も少ないです。そのため、イーサリアムにプレーヤーが集まりにくい現状があります。
機会
イーサリアムベースのプロジェクト増加
仮想通貨を使った資金調達法であるICO(Initial Coin Offering)の利用が爆発的に増加しています。そして、ICOの支払い通貨にイーサリアムが使われることが多いため、期待度が高いICOプロジェクトがあると、イーサリアムの価格も上がります。
大型バージョンアップ
イーサリアムには、大型のバージョンアップが4つ用意されており、その内2つはすでに完了済みです。3番目のバージョンアップである「メトロポリス」が2017年秋に控えており、期待が高まっています。メトロポリスでは、
- – セキュリティ強化
- – プライバシー保護強化
- – スマートコントラクトのコスト削減
- – マイニング方式移行(PoW → PoS)
が行われる予定です。
Plasmaの実装
イーサリアムのトラフィック量の増加による「スケーラビリティ問題」に対応するため、イーサリアム開発者のVitalikは、新たに「Plasma」という技術を実装する予定です。これが成功すれば、よりスピードが早く匿名性の高い取引が行えるようになり、イーサリアム価格も上昇が見込めます。
脅威
ハッキング
イーサリアムが抱えるシステムの脆弱性については、既に説明しました。今後のバージョンアップで改善が期待されるものの、ハッキングリスクは懸念として残ります。もし、THE DAO事件のようなことが再度起これば、イーサリアムの信用が失墜する可能性もあります。
中国のICO規制
中国は2017年9月4日、ICOを全面禁止にしました。これが、ICOにとって逆風となれば、支払い通貨として価値が支えられていたイーサリアムも打撃を受けることになるでしょう。
総評
イーサリアムは、スマートコントラクトという革新的な技術の代表格であり、多くの企業もイーサリアムを支援している実態もあるため、通貨としての価値が急落することはないと考えられます。さらに、バージョンアップやPlasmaの実装のような上げ材料もあるため、爆発的に伸びることはないにせよ、じわじわと価格を上げていく可能性が高いでしょう。懸念としては、成功事例がないこととハッキングリスクですが、これは時間が解決してくれる問題のように思います。結論として、イーサリアムへの投資は、短期的に行うのではなく、長期的にホールドする方法が賢明ではないでしょうか。
まとめ
この記事ではここまで、イーサリアムの概要や特徴を説明してきました。同じ仮想通貨でも、ビットコインとは非常に異なる性質を持っていることが、わかったかと思います。イーサリアムと聞いて「スマートコントラクト」しか知らなかった方も、イーサリアムのプラットフォームとしての可能性を感じてもらえたのではないでしょうか。イーサリアムは今後も、成長していく仮想通貨の一つだと考えています。これを機に、投資してみるのもいいかもしれませんね。それでは、最後までご覧いただき、ありがとうございました。
最後に:複数取引所を登録する必要性とは
仮想通貨取引所はいくつか登録しておき、相場(価格や手数料)により、使用する取引所を代えて取引する事が手数料等を抑えて損をしないための重要なポイントになります。
登録数が多く、オススメできる国内取引所を紹介します!
1.coincheck(コインチェック)~初心者にオススメ~
初めて仮想通貨を取り扱う人に使ってもらいたい取引所です。
WEBサイトやスマートフォンアプリが非常に使い易く、少額から取引が可能ですので、初めて取り扱う人には最適です!
取扱通貨数が多いことも魅力のひとつです。
2.Zaif(ザイフ)~低手数料、自動積立~
最大のポイントになるのは手数料の低さではないでしょうか。Nem(ネム)の場合、取引手数料が0.1%とかなり低いので、他所でNem(ネム)を取扱いしている方は、こちらへ切り替えた方がよいでしょう。
また、新たなサービスとしてビットコイン・イーサリアムの自動積立を行っています。定期預金のように毎月決まった額分自動で購入が可能となります。
3.bitflyer(ビットフライヤー)~CMでも有名な取引量国内1位~
国内ビットコイン取引量1位の老舗取引所であるbitflyerは、安全性が高いのはもちろんのこと、ビットコインFXサービス(レバレッジ15倍)も提供していますので、仮想通貨の取扱いに慣れてきた人にはオススメです!
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