皆さんは仮想通貨の「ウォレット」ってご存知でしょうか。あまり聞いたことがないという方もいらっしゃるかもしれませんね。
ウォレットとはいわゆる銀行口座です。通常の現金では、銀行の口座に預金して振り込みをしたり、払い込みをしてもらったりなどということがあると思います。仮想通貨のウォレットとは、簡単に言うとこういった送金処理などを行うための仮想通貨専用の口座のことです。
今回は、このウォレットについて、その概要や仕組み、現在利用されている主要なウォレットのメリットやデメリットなどについて見ていきます。
目次
①仮想通貨の「ウォレット」って何?
そもそも「ウォレット」って何でしょうか。英語のWalletは、「(通例折りたたみ式の革製の)札(さつ)入れ,紙入れ」(研究社 新英和中辞典)という意味です。つまり、紙幣を入れる財布です。
では、仮想通貨における「ウォレット」とはどういうものでしょうか。皆さんは、現金を持つときは財布に入れますよね。もっと金額が多額になると、銀行に預けるといった答えが多くなると思います。
仮想通貨における「ウォレット」とは、この銀行にある銀行口座にあたるものと言えます。銀行口座では普通、以下のようなことが行われています。
- 預かり入れ(預金)
- 払い込み
- 振り込み(送金)
など
ウォレットではもちろん現金は扱われませんが、銀行口座と同じようにこういった処理が行えるようになっています。つまり、以下のようなことです
- 仮想通貨の保管(預金)
- 仮想通貨の受け取り(払い込み)
- 仮想通貨の受け取り(振り込み)
ただし、実際の現金を扱う銀行口座と大きく違う点があります。それは、「現実の銀行がない」ということです。そのため、ウォレットは以下のようなところに作成されます。
- パソコン上
- インターネット上
- 専用ハードウェア
- 紙
このように、現金を扱う銀行口座と同じような機能を持っているウォレットですが、パソコンやインターネット上に保管するといった銀行口座とは異なる大きな特徴を持っています。
1.1「ウォレット」の機能や仕組みとは
銀行口座と同じようなものでありながら、大きく異なる「ウォレット」。その機能や仕組みはどのようになっているのでしょうか。
まず、ウォレットの機能については先ほども説明しましたが、以下のように銀行口座によく似たものとなっています。
- 仮想通貨の保管(預金)
- 仮想通貨の受け取り(払い込み)
- 仮想通貨の受け取り(振り込み)
では、その仕組みはどのようになっているのでしょうか。ウォレットでは、仮想通貨は銀行口座でいうところの口座番号に相当するアドレスを持ちます。ビットコインを例に挙げると27~34桁の英数字の組み合わせからなるビットコインアドレスを持ちます。これは当然ながら口座ごとに全く違うユニークな番号です。簡単にいうと、ウォレットとはこの番号を利用して「保管」「送金」などの処理をするものです。
ウォレット自体は、高度な暗号化技術を利用するものですが、その保管方法によって先ほどの4つのタイプに分けられます。
<パソコン上>
パソコン上にブロックチェーン(取引データ)をダウンロードして使うタイプのものです。初回利用の際には大量のブロックチェーンデータをダウンロードするために時間がかかります。また、データを利用するパソコンはセキュリティ対策を万全にして、ウォレットのログインIDやパスワードが漏洩することが無いようにすることが大切です。
<インターネット>
インターネット上に置かれたウォレットを利用する方法で、インターネットに接続されている時にのみ利用できます。インターネット上に置かれているので、ウィルス対策などセキュリティ対策を万全にしておくことが重要です。
併せて、提供されているサービス側もセキュリティの向上のために、2段階認証などの仕組みを取り入れているものがあり、インターネット嬢のウォレットを利用する場合は、こういった機能のあるものを選択することがポイントとなります。
<専用ハードウェア>
仮想通貨を保管するウォレットには、専用のハードウェアがあります。それが、ハードウェアウォレットです。ハードウェアウォレットは、USB経由でパソコンと接続して、データを取り込んで保管することが出来ます。そのため、パソコン上やインターネットに保存するのに比べて安全と言えますが、ハードウェアの故障によりデータが失われるリスクは残ります。
<紙>
最も安全な保管方法といわれているのが、紙です。ペーパーウォレットと呼ばれるものがそれで、印刷された紙やカードで利用されています。データではないので、不正にハッキングされたり、改ざんされたりすることがないので非常に安全です。ただし、火災や損傷には気をつける必要があります。
このように、仮想通貨のウォレットにはさまざまな種類があり、それぞれにメリットやデメリットがあります。
②さまざまな「ウォレット」の紹介
ここまでウォレットとはどういうもので、どういった機能や仕組みになっているのか、ということを見てきました。先ほど少し触れましたが、ウォレットにはいくつかの種類があります。ここでは、それらについて、具体的なサービスを紹介します。
<パソコン上>
ブロックチェーンをパソコン上にダウンロードするもので有名なものにはビットコインを利用する「ビットコイン・コア」があります。ビットコイン・コアでは、Windows, Macのみならず、Linuxなどにも対応しており、以下のサイトでデータをダウンロードすることが出来ます。
「ビットコイン・コア」
https://bitcoin.org/ja/download
先ほども説明しましたが、かなりのデータ量がある(65GB以上)ので、初回ダウンロードには多くの時間がかかります。
<インターネット>
インターネット上で利用できるサービスで有名なものに、「coin check(コインチェック)」があります。コインチェックは、仮想通貨取引所と言われるサービスで、ビットコインやイーサリアム、リップルなど、取引ランキング上位に位置する仮想通貨を扱っているサービスです。
「coin check」
コインチェックでは、「Google Authenticator」を利用した2段階認証に対応しているなど、セキュリティ的にも不正アクセスやデータの改ざんなどの問題が発生しないように対策が行われています。また、国内初の「損失補償サービス」を行うなど、万が一に不正送金などが発生した場合であっても、損失が補償されるようになっています。これは安心ですよね。
<専用ハードウェア>
仮想通貨を保管するための専用ハードウェアにはいくつか種類がありますが、「TREZOR」や「Ledger」が知られています。これらはUSB接続でパソコンからウォレットとして利用できるものです。だいたい5千円〜15000円程度のものが多いようです。
仮想通貨はこれらのデバイスの中で、暗号化用の秘密鍵として保管されていますが、インターネットを介して通信を行うことがないので、外部に漏洩するなどの問題がなく安全なものと言えます。ただし、ハードウェアの故障によるデータ損失のリスクが残るので注意しましょう。
<紙>
仮想通貨を紙に印刷してペーパーウォレットとして保管するもので、インターネット上のサイトでは「bit address」で作成することが出来ます。
「bit address」
このサイトを利用する際は以下のような手順で行います。
- 手順1:サイトを保存し、ネットワーク接続を切る
→オンラインで作成することで、他人から見られることを防ぐためにオフラインで行います。
- 手順2:保存したサイトを開く
- 手順3:bit addressでペーパーウォレットを作成し、印刷
こういった手順で、ペーパーウォレットを作成します。作成したペーパーウォレットは、損傷などを防ぐためにしっかりと管理することが大切です。
ウォレットには具体的にこういったものがあります。参考にしてみてください。
③おすすめの「ウォレット」はどれ?
さまざまなウォレットを紹介しましたが、素朴な疑問「いったいどれがいいの?」と思われた方も多いのではないでしょうか。当然ですよね。
ここでは、具体的におすすめのウォレットを紹介しましょう。結果としてもっとも安全なウォレットは「紙」つまりペーパーウォレットと言えます。インターネットと接続されているわけではないので、不正アクセスによる取得や改ざんもありません。また、ハードウェアウォレットのように、機器の故障によってデータが失われる心配もありません。したがって、実際に高額の仮想通貨を扱う場合は、ペーパーウォレットが使われることが一般的であり、それがオススメです。
今、「高額の」と付けたのは、ペーパーウォレットの利便性の問題です。利便性ということを考えると、インターネット上で保管や取引ができるサービスは非常に便利です。紹介したcoin checkでもスマートフォン用のアプリがリリースされており、それを活用することで、手軽に仮想通貨の取引や保管が行えるようになっています。印刷した紙で扱われるペーパーウォレットにはこういった利便性はありません。
したがって、「安全性」と「利便性」を考えると以下のように使い分けるのが良いでしょう。
- 低額の場合:インターネットサービスを利用
- 高額の場合:ペーパーウォレット(紙)を利用
このように、仮想通貨の場合は安全性と利便性が相反するケースがあるため、2つのサービスを仮想通貨の額によって使い分けるのがおすすめの方法です。
まとめ:ウォレット利用の基本的な考え方
今回は、仮想通貨の銀行口座である「ウォレット」について、見てきました。ウォレットという言葉を初めて聞いたという方もよくご理解いただけたのではないかと思います。
ウォレットは、仮想通貨の保存方法によって「パソコン上」「インターネット」「専用ハードウェア」「紙」の4つに大きく分けられます。これらはそれぞれメリットやデメリットがありますが、今回は、「安全性」と「利便性」という2つの観点から、以下のように使い分けを提案しました。
- 低額の場合:利便性の高いインターネットサービスを利用
- 高額の場合:安全性の高いペーパーウォレット(紙)を利用
このように、仮想通貨を保管する際のウォレットはスマートフォンのアプリなどでも使える利便性を重視するか、それとも不正アクセスや改ざんからいかに守るかという安全性を重視するかで選択肢は変わってきますが、その際に一つの指標として有効なのが、「額」であると考えられます。
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