今やビットコインブームの到来により、ビットコイン取引により利益を得た方も多いのではないでしょうか。
ビットコインの取引で利益が出た場合、どのような課税が適用されるのかについては不明瞭な部分もあり、理解できている人は少ないと思います。
今回の記事では、国税庁が公表した内容に沿って、ビットコインを使用することにより生じる損益の取扱いについて、独自の解釈になりますが説明したいと思います。
目次
仮想通貨に関する法整備について
ビットコインの売買により利益を得た場合の税の取扱いについて国税庁が公表した内容を掘り下げる前に、日本においてどのような法・ガイドラインが整備されたのかを確認してみます。
「資金決済に関する法律」の施行
平成28年6月に「資金決済に関する法律」が公布、平成29年4月に施行され、仮想通貨が正式に支払い手段に含まれる取扱いとなりました。当改正を受けて、平成29年7月1日より、消費税は非課税という取扱いに変更になりました。
※平成29年6月30日までは課税取引で、平成29年7月1日からは非課税取引
合わせて「仮想通貨」とは何か定義され、仮想通貨の売買等を行う仮想通貨交換業者に対して登録制が導入されるとともに、利用者保護のためのルールに関する規定の整備されました。
(資金決済に関する法律の一部改正に伴う経過措置)第八条 この法律の施行の際現に仮想通貨交換業(第十一条の規定による改正後の資金決済に関する法律(以下この条において「新資金決済法」という。)第二条第七項に規定する仮想通貨交換業をいう。以下この条において同じ。)を行っている者は、施行日から起算して六月間(当該期間内に新資金決済法第六十三条の五第一項の規定による登録の拒否の処分があったとき、又は次項の規定により読み替えて適用される新資金決済法第六十三条の十七第一項の規定により仮想通貨交換業の全部の廃止を命じられたときは、当該処分のあった日又は当該廃止を命じられた日までの間)は、新資金決済法第六十三条の二の規定にかかわらず、当該仮想通貨交換業を行うことができる。その者がその期間内に同条の登録の申請をした場合において、その期間を経過したときは、その申請について登録又は登録の拒否の処分があるまでの間も、同様とする。2 前項の規定により仮想通貨交換業を行うことができる場合においては、その者を仮想通貨交換業者(新資金決済法第二条第八項に規定する仮想通貨交換業者をいう。)とみなして、新資金決済法の規定を適用する。この場合において、新資金決済法第六十三条の十七第一項中「第六十三条の二の登録を取り消し」とあるのは、「仮想通貨交換業の全部の廃止を命じ」とするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。3 前項の規定により読み替えて適用される新資金決済法第六十三条の十七第一項の規定により仮想通貨交換業の全部の廃止を命じられた場合における新資金決済法の規定の適用については、当該廃止を命じられた者を同項の規定により新資金決済法第六十三条の二の登録を取り消された者と、当該廃止を命じられた日を同項の規定による同条の登録の取消しの日とみなす。
「資金決済に関する法律」より
- 不特定の者に対して、代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨(日本円や米国ドル等)と相互に交換できる
- 電子的に記録され、移転できる
- 法定通貨又は法定通貨建ての資産ではない
内閣府令・事務ガイドラインの公表
「資金決済に関する法律」の施行に伴い、「仮想通貨交換業者に関する内閣府令案」、および「事務ガイドライン(仮想通貨交換業者関係)」が公表されました。
その中で、どのような場合に仮想通貨交換業の登録が必要となるのか、どのような規制があるのか等、登録事業者に対しての考え方が示されました。
上記の内容で肝になってくるのが、平成29年10月以降も「仮想通貨交換業」を行う業者は、平成29年10月までに国に対して仮想通貨交換業者として登録が必要だという点です。
個人的にはマウントゴックスの件もありますので、登録制にすることについては賛成しておりますのが、「仮想通貨」自体の取扱いが複雑なため、審査等にかなり時間を有するのでは?と懸念しております。
メインで使っているコインチェックが取引できなくなる。なんてことにならないように、早く登録して欲しいと思います。
ちなみに金融庁によると、平成29年9月現在の登録業者数は・・・0社です。笑
- 仮想通貨と法廷通貨又は仮想通貨同士の交換や交管に際して利用者の金銭・仮想通貨を管理する業務をいいます。
仮想通貨交換業者に対する規制
平成26年2月に民事再生手続開始の申立てをした破綻事例(マウントゴックス)を踏まえ仮想通貨の売買等に伴い想定されるリスクの対策として、仮想通貨交換業者に対して利用者保護を目的とした規制がなされています。
仮想通貨交換業者に対し、正常な運営を行わせるような監督規制(仮想通貨法第3章資金移動第3節監督)やマネーロンダリング規制(仮想通貨法第4章資金清算)が整備されております。
ざっくり解釈すると、当たり前の運営をして利用者に対して新設丁寧にしないと仮想通貨取引所として認可しませんよーって事です。
このような法整備が進むことによって、本格的に使用が認められ、様々な分野でビットコインを用いた決済手法が採用されております。
ここまでは法整備について説明してきましたが、ここからはビットコインを用いた取引によって得た利益に対して、どのような税が課されるのか見ていきましょう。
国税庁が公表した内容とは
No.1524 ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係
[平成29年4月1日現在法令等] ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。
このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。
(所法27、35、36)国税庁HPより
上記の公表から読み取れるのは、「雑所得」扱いになるという・・・
はい、そもそも「雑所得」って何だ?ってことで下にまとめます。
雑所得とは
代表的な例として年金、定期等による利子、株式保有に伴う配当などが雑所得として扱われます。ようは、本業以外で取得した所得のことを「雑所得」となります。
雑所得の金額は、「雑所得にかかる総収入金額ー必要経費」で算出されます。算出結果と給与所得などの所得と合計した金額に応じて、収める税率が決まります。したがって、雑所得を得るために買った使った経費の領収書は確実に残しておく必要があります。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
(注) 例えば「課税される所得金額」が700万円の場合には、求める税額は次のようになります。
700万円×0.23-63万6千円=97万4千円
※国税庁HPより
給与所得を得ている人は20万円以下なら確定申告不要?
何らかの組織に属しており、給与所得を得ているサラリーマンさんなどは、職場で年末調整を行っているため確定申告は不要となっております。その場合、給与所得意外に得た所得が20万円以下の場合は、確定申告はせずに構いません。
ということは、他に雑所得がなく状態でれば、ビットコインの売買により20万円までは利益を出しても確定申告はしないでよいことになります。
取得価格について
ビットコイン取引による収益を考えるとき、そもそもいくらで取得したのかがポイントになると思います。
・1ビットコインが1万の時に購入した1枚
・1ビットコインが40万の時に購入した1枚
上記のコインを2枚保持している状態で、1ビットコインを30万で売った場合、どのように考えればよいのか?という問題に直面します。
この問題については、いくつか考え方があるかと思っており、平均法を使う、先入れ先出しで行くなどの整理を、各自ですればよいのではないかと思っております。時と場合により方法を買えるのはNGですが、一貫して統一した方法にて行うのであれば、どの方法を使用しても結果は変わらないはずだからです。
ビットコイン意外の仮想通貨は?
国税庁にはビットコインと記載してるため、仮想通貨についても同様に適用されるのかどうかは定かではない。しかし、急激な普及を齎したビットコインにフォーカスしているだけであって、取扱いについてはビットコイン同様仮想通貨も雑所得で扱うべきだと判断しております。アルトコインが何百種類以上存在している現状、一つ一つの銘柄の固有名詞をあげて表記することは考えにくいので。
ビットコイン=仮想通貨で今回は認識してよいかと思います。
まとめ
今後も仮想通貨が普及していくにつれて、国が定めるルールも複雑で面倒だと感じることもあるでしょう。
しかし、国内で仮想通貨が利用できる環境を整えるためには、国が定める適切な方法で納税を行っていくことが、何より必要になるのだと思います。
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